"> ゆぎお中心でイロイロその2 小説 キサラとセト(その1) 忍者ブログ
絵日記とかSSとか飽きるまで
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あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いしたします。
皆様にとって幸多い年でありますように。


キサラとセト(その1)

古代編 セトとキサラをラーが見守るというか
見守るだけというか…そんなノリの話。ラーは天然です。
そして薄情モンです。マリク様の事しか頭にない。
私は 個人的にセトとキサラが好きなので、ちょっと倉庫から引っ張ってきました。



さて。どうしたものでしょう。僕はファラオの住まう王宮で
イシュタール当主から申し付けられた用事を終えたのち
辛気臭い死者の谷【ネクロポリス】へと帰ろうと思ったのです。
そう。あの、光の射さない健康状態が最悪になりそうなイシュタール一族の住処にです。
ところが、将来有望視される若き青年神官セト様の使いが僕の元にやってきたのです。

「 ―というわけだ。神官セト様がお前をお呼びだ。早く行くがいい」
何故、僕のような知名度の低い魔術師なんぞにあの偉大なる神官様が声をかけるのだ?
帰りが遅くなると、マリク様がまた癇癪起こして宥めるのに一苦労するのだが。
あぁぁぁ!面倒くさい。この国の偉いトップエリートの神官だろうが、
この国で崇められ敬われる現人神のファラオだろうが、
三幻神に選ばれし者だろうが、神器に選ばれた運命の神官だろうが
この国を騒がす盗賊王の話だろうが、誇りと誇りをかけた暑苦しい決闘だとか
大邪神の復活、世界の滅亡だとか僕はそのようなものには興味がない。

僕は僕が見守り、育ててきたマリク様の行く末を見届けたいだけ。
なんといっても、マリク様を愛し育てることこそ
数少ない僕の誇りであり、生き甲斐なのだから。

僕は寝ても覚めても、表のマリク様ともう一人のマリク様の将来のことが心配だ。
あんな太陽の光も当たらない、衛生面も怪しい、不衛生かつ
不健康な場所で、育つのでは、どんな病弱に育つことか。
骨とかも、きっと脆くなってしまうんだろうなぁ。どうしたものか。
マリク様が幼いころから、たくさん運動させてカルシウムを摂取させて、
イシュタール当主には内緒で外で遊ばせてきたのだが。


僕はそんな事を考えながら、神官セト様と合流し、煉瓦で造られた通路を歩いていきました。

厳重な警護を施された扉が開かれると、そこには白い肌。青い瞳の
それはそれは溜息が洩れそうなほど美しい女性がベッドの上に座っていました。
青い瞳の女性は少しぼうっとしながら、僕を見て目をきょとんとさせていました。
そしてセト様と視線を合わせると微かに頬を染めたのです。それでピーンときました。
ああ、このお嬢様はセト様に恋していると。成程。身分違いの恋か。
なんとなく見えます。不幸な結末フラグが。これはもう合掌ですね。

しかし、何の罪もなさそうな、若い女性をこんな離宮の牢獄に閉じ込めるとは、
セト様は少々変わった性癖をお持ちなのだろうか?
最も、政財界の要人とは変わった性癖を持つもの多いので、驚いてはいけない。
鋭い目をしたセト様が重々しく口を開きました。僕に話しかけているようです。
「この女の名はキサラ。異国の女だ」
「見た目はそうですね…」

「貴様は精神医学に精通していると聞いた。メンタル面を癒やす医者だと
この女はかなり、度重なる研究のせいで
肉体的にも精神的にも疲れている。お前が診ろ」

青い瞳の女は、目を開き血相を変えてベッドから起き上がる。
そんな、とんでもないといわんばかりに。
「セ、セト様。お気づかいは嬉しいのですが、私のような者にそんな、お医者様を」
「キ、キラサ。ち、違う。キ、キサラ。お、お前のためではない。
か、勘違いするな。お前には利用価値があるから」
「た、体調が悪いのもきっと気のせいですから、セト様。私の事はお気になさらないで」

……何だ。恋愛に関して奥手な者が交わし合うような
この甘酸っぱい香り漂うピンクの空気は。思わず背筋がゾゾゾッとしてしまう。
キサラ嬢は医者なんぞに診られるより、セト様がいりゃあ元気100倍なんじゃ。
何にせよ、この光景。30歳過ぎのオッサンの僕には居心地が悪い。
僕は早くマリク様の所に帰りたい。とはいえ、僕とて空気くらいは読む。

「キサラ嬢は犯罪者なのですか?こんな牢屋に閉じ込められるとは」
「キサラは何もしておらん!だが、この女は神を超える神を宿しているのだ」
「ああ。なるほど。セト様はそれを兵器利用しようと考えておられるのですね」
「そ、それは」

「なにを躊躇うのですか。自らの手を汚すこともなく、犠牲者を出すこともなく、
誰も泣かすこともなく、正義や法や秩序、掛け替えのない尊い人命を
守れるとお思いですか。偉大なるファラオの手を汚させぬために、
誇りを持った汚れ役や殺し屋は必要でしょう。それとも、そんな人間いずとも
国の平和や弱者たる民の平穏は守れると、胸を張って言えるのですか。
政治とは、絵に描いたような悪を倒して終わるものではないでしょう」

「…くっ」

あ、少し演技臭かったですかねぇ?
僕はムラムラ~っときて、あえて、イジワルをいってしまいました。
悩み苦しむセト様が人間臭くて、いじらしくて健気でいい子だったので、
ついつい苛めたくなってしまったのです。
それにしても、神官軍人とは辛い生き物ですねぇ。
周囲の者によれば、セトとは血も涙もない極悪冷血漢だというのに、
たった一人の青い瞳の綺麗なお嬢さん相手にこのザマです。
可笑しすぎて、僕は腹筋が木っ端微塵になりそうですよ。どうしましょう。
まぁ、僕はその事を口に出すことも顔に出すことなく、
厳しい顔で問いかけるようにシリアスな顔でセト様と話していますが。

キサラ嬢は意を決したようにセト様に語り掛けました。
「私は、セト様が望むのであれば、死ぬことになっても後悔は…。
私を殺すことで白き龍の神がセト様のものになるのなら…」

「キサラ。バカをいうな。私は、白き龍ではなく、お前が、お前の心が」

うわぁぁ。僕は見てはならないものを見たんじゃないのか?
ベッタベタの泥沼愛情劇じゃないかコレ。青い瞳の女性…彼女は
セト様の愛人か側室かまぁ、そのあたりでしょう。
セト様は見かけによらず、自らの快楽より、女性に気を使った抱き方をされる
紳士な方でしょうから、キサラ嬢は気持ちのいいエッチが出来るんでしょうねぇ。
どちらにしても、隠れて側室を持つのは政治的要因に考えてマイナスなのでは?
さっさと愛人にすることを宣言してしまえばいいのに。
この時代では珍しい事じゃないでしょうに。

「イシュタール家の魔術師!聴いているのか」
「はい。セト様の憂い、キサラ嬢への労わりの思い、その葛藤…。
セト様。貴方は迷っておられるのですね。
あなたは、人である以前に為政者として生きねばならないから」

僕はそれっぽいことをいっておきました。セト様は顔を真っ赤にして馬鹿者っ!
と叫んでおられます。怒らないでください。冗談ですよ。半分くらいは。

そもそもセト様は国民の税金、血税で生きてる政治家&神官でしょう。
少ない犠牲で国民を守る義務があるはずだ。
白き龍の力で世間を騒がせる血気盛んな泥棒王を退治出来るなら、さっさとやれば?
と、僕は思うのですが、セト様は根は大変お優しいですから無理でしょうねぇ。
白き龍の抽出。それはキサラ嬢の死を意味するのですから。

「私はこれから、軍議に出ねばならん。貴様はこの娘を診ておけ。
キサラが宿す魔物【カー】を何者かが無理やり奪おうとするかもしれん」
まさかそれがアクナディンだとはいえず、セトは多くを語れなかった。
セトにとってアクナディンは恩師。誰よりも尊敬する師父なのだから。

「キサラ嬢が宿すのは、一体どんな魔物【カー】なのですか?
それに…無理やり奪われるとは…?」

「この女の宿すのは三幻神をも凌駕する恐るべき魔物【カー】だ。
我々は白き龍の神と呼んでいる」

どれどれ。僕はキサラ嬢の心に秘めた神様を拝む事にしました。
僕は瞳を閉じて、精神を集中させます。・・・・・・あ、確かに見えます。
…白き龍の神。あははは。そのまんまな呼び方ですね。
少しキサラ嬢の過去を視せて頂きましょうか。お、視えます。幼いセト様と幼いキサラ嬢。
どうやら彼女は幼いころ、人買いに捕まりセト様助けて頂いた経験があるようです。
それ以来、セト様を初恋の王子様??のように慕っているようです。
あちゃー。なんと可愛らしい。微笑ましいいい話じゃありませんか。

しかも彼女・・・セト様を襲った賊を容赦なくバッタバッタと殺した過去もあるのですね。
うわぁぁぁ。見かけによらず、侮れないお嬢さんだ。殺ることはしっかり殺ってます。
しかも彼女は殺人経験を全く覚えていないのです。あ…ヤバくないですか?これ?
ならず者を殺るのはともかく、それを覚えていないというのは…。
まぁ、このお嬢様はどんなに返り血を浴びても決して汚れない気がしますが。
穢れなき無垢な魂と、深い愛の心がキサラ嬢をより一層美しく魅せるのでしょう。

セトとキサラが子供時代に合っていたというアニメ設定に燃えました。
あの辺りを拝借しております。キサラはセトに一目会うために、
エジプトの首都テーベに来たんじゃないかなぁ…と思う。
(この時代はテーベでいいんだよね?たぶん)

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